2013年6月29日土曜日

Experience Based Medicineの陥穽

Wikipediaによると、伝説の医師会長武見太郎氏は
「(医師の集団は)3分の1は学問的にも倫理的にも極めて高い集団、3分の1はまったくのノンポリ、そして残りの3分の1は、欲張り村の村長さんだ」
と嘆いたという。これが事実だとして、3軒ドクターショッピングをしたとすると、サイコロを振って5や6が出る確率で名医、3や4が出る確率で凡医、1や2が出る確率で村長さんに当たることになります。樹形図を書いてみれば一目瞭然ですが、1回も村長さんに当たらない確率が8/27、1回当たる確率が12/27、2回当たる確率が6/27、3回とも当たってしまう確率が1/27となるわけです。7/27の方が当たりが悪いわけで、医者ってのは、大半は村長さんだと思かもしれません。逆に8/27の方がマスコミが言うのとは違って村長さんはいないと思うかもしれません。しかし、実際には、この過半数を超える方々の判断は事実とは異なってしまうのです。

実際、3例くらいのサンプルでは、その中にまともな医者がゼロだったとしても、その95%信頼区間は、0-1.0としか言えないわけです。(cf. wikipedia "Rule of tree"

そんな少ない経験に即した判断の陥穽を避けるためのツールが、悪名高い「偏差値」のもととなった正規分布なのです。大雑把に言って、偏差値70以上と30以下は2.5%ずつ、60-70と30-40は16%ずつ、残る40-60は63%という訳です。

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